みゆるのぶろぐ。

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この地獄を生きなば生きんとする同志よ。~被暴力体験のある25歳が50年分の人生から伝えたいこと~

25歳ソーシャルワーカー初著書!

被暴力体験のある著者自身がこの日本社会を“地獄”と一刀両断。「だってそうじゃないですか。政府に信頼は持てない、毎日のように流れる虐待死のニュース、過労死、長時間労働、一寸先は貧困と、今日を生きるので精一杯、明日を生きるのに迷う社会なんてはっきり言って地獄ですよ。」それでも彼女は模索し、言葉に訴え続けた。この息苦しい世の中で生きるすべての同志に「生きているだけで十分絶対に大切な存在」だということを。

 

【わたしの生き方】

この地獄の中で、それでもメディアに映るのは華やかで「平和な」人間の姿。笑っていないとやってられない、ということの裏返しなのかもしれない。

しかし、どうしても自分をカテゴリーに収めたくなる。メディアの中に自分がいないと分かれば、自分に引っかかるキーワードをもとに学校の授業を受けた。そこで出会った言説にとことん自分を向き合わせて、この中に自分がいるか?と探した。どうも、しっくりこない。じゃあボランティアでもしてみるか。支援の必要があるとされる人が過ごす現場に足を運んでみようか。いろんな人がいるんだなあ、でもなんか違う。そうやってそれらを繰り返す中でだんだん、自身の親との関係に葛藤があることに気づいてゆく。

毒親”、“アダルトチルドレン”、“機能不全家族”…。

どれも親を悪者にして呪いを解き始めるためには大事な作業であった。

そんな言葉が自分に近しいのかもしれないと感づき始めていた時、児童福祉施設(虐待等の理由で家庭で生活することができない子どもが入所している施設)での実習に臨んだ。私は意気込んでいた。入所児童に必要なケアをしっかりと実践していこう、ハードな現場とは言われるけれど、私は必ず子どもたちの味方でいよう。いきなり試し行動(目の前の大人を信じてもよいか、攻撃し続けても自分にキレない大人かを計測する行動)を向けられた。とにかく教育現場等では「そんなことを言ってはいけません!」というような言葉を初対面・真正面から向けられる。ただ、これは想定範囲内。「で?」という態度で子どものアプローチを凌駕し続ける、そして、どんどんエスカレートしていく。

たった10日間の実習にも関わらず、私は鬱状態になっていた。実習からの帰路、電車の中で独りブツブツと喋るようになっていた。さらに終盤3日間は、施設の先生方に自分の身の上話を号泣しながら聞いてもらうはめになっていた。とんだ実習生である。その際自分は、施設入所している子どもと自分を絶えず比較して、子どもの中に自分を探していた。家がつらい私、家や家族との繋がりを強調し、自慢する子ども。ミラーリングしながら動悸がしていた。そのことを聞いた施設の先生から、「あなたは家でずっといい子にしてたんだな。」と言い当てられた。この期に及んでようやく自分に“虐待”という言葉が理解できた気がした。これが大きな自己覚知の始まりであった。

それからというもの、親を憎み、だけど親だけが問題ではないということにも視点が向くようになり、この社会的問題“虐待”と、自分と向き合うことにした。自分を助ける言論に出会い、自分を回復させる方法はとことん利用した(例:カウンセリングルーム、当事者の集まる講演会など)。

大きな転換点となったのは、自尊感情回復プログラム(SEP:Self-esteem program)、藤木美奈子さんとの出会いである。一度上がった自尊感情はなかなか下がらない。自分が生きる上で考え方の癖を修正し、自分で自分を生きやすくする。これだ!と思った。

たまたま医療ソーシャルワーカーという対人援助職で働き始めていたので、SEP支援者講習初級を受講した。当事者向けプログラムもあったが、支援者講習についてもその時の私には十分有効であった。

様々な自分探しや、自分の回復の途上で、たくさんの出会いに恵まれた。子どもを抱えるシングルマザーで、まさに生きると死ぬのすれすれを経験してきたような、そんな方たちを支援している団体にボランティアとしてかかわっていた。

私が感じたのは、自分のことを大切と思うことがまず何よりも重要であり、そうすれば次に自分が困窮しているとヘルプを出す力になると。私も必死にヘルプを出し続け、多くの人に出会ってきた。そうするうちに、私は生きるということを続ける理由を複数持っていくようになる。

 

ここからは私個人の体験をもとにした主観である。

この世の中には私を死なせないようにする要素がたくさん転がっている。例えそれらが点と点で穴だらけの網であっても、多少どこかには引っかかって、滑り落ちないようになっている。ただし、その網に何とか引っかかって落ちないように生きている状態ははっきり言って地獄だ。でもまたそうしているうちに、あっちこっちに生きるための希望の光が見つかることがある。そうやって、なんとか毎日を紡いでいる。これが現在の私の生き方なのだと思う。

 

 

 

【著者プロフィール】

f:id:mochi2omochi:20180608135735j:plainみゆる(miyuru)大阪府出身。2015年大阪府立大学人間社会学部卒業、社会福祉士・保育士の資格取得をする。専攻はセクシュアリティジェンダー等。医療ソーシャルワーカーとして病院に勤務。現在は休職中。趣味は性の表現を探求すること。